暗号通貨業界におけるDeFiの台頭を探る

暗号通貨業界におけるDeFiの台頭を探る

暗号資産、または仮想通貨という言葉が、ニュースや人々の話題に上がるようになって久しいですが、そうしたトピックスと同時に『DeFi』というワードも目にするようになったとお気づきの方も多いのではないでしょうか。投資について興味を持つ方の間でも耳にするDeFiについて、ここでは説明していきたいと思います。

目次

DeFiとは

DeFi(ディーファイ)とは、Decentralized Financeの略称で、日本語では『分散型金融』とも呼ばれていて、中央集権的な金融機関を介さずに、ブロックチェーン技術を利用して金融サービスを提供する新しい形態の金融システムのことを指しています。DeFiは既存の金融サービスとは異なり、銀行や企業などの管理者を介さずに、ユーザー同士が直接取引をおこなうことができるという特徴があります。また、市場規模は約1000億ドル(約11兆円)で、1年で約5倍に急増したとも言われています。具体的にその内容を見てみましょう。

スマートコントラクト

DeFiにはブロックチェーン技術を活用することで中央集権的な管理者が存在しないという、従来の金融サービスとは大きく異なる特徴があります。ブロックチェーンとは、分散型台帳とも呼ばれている情報を記録する技術の1つで、情報を1箇所のサーバーなどに集約して記録せず、複数のネットワーク参加者同士で分散させて記録する仕組みが採用されています。さらに、記録する情報が正しいかどうかもネットワーク参加者同士で確認し合うため、中央集権的な管理者を必要としません。そのため、投資家の間でも海外fxとともに大変注目されています。

また、DeFiにとってのもう1つの重要なブロックチェーン技術が、スマートコントラクトと呼ばれるものです。スマートコントラクトとは、プログラムによってあらかじめ決められた処理を自動的に執行する仕組みで、契約条件をプログラムすることで、自動的に取引を実行し、資金を管理します。 DeFiではこのスマートコントラクトを活用することで、管理者の仲介が存在しなくてもユーザー同士で不正のない取引を行うことが可能となっているのです。

オープンなプロトコル

パブリックなブロックチェーン上にあるDeFiのプロトコルは、一般的にオープンソースとなっています。つまり、これは誰でも参加できることを意味しているだけでなく、エンジニアは既存のDeFiのプロトコルを真似することで、新しいDeFiをゼロから開発しなくても生み出せるようになっているのです。もちろん、既存のものを単純にコピーしただけでは多くのユーザーを獲得できないので、ほとんどはオリジナルとは異なる変更が加えられ、そうすることでより良い金融サービスやアプリケーション、プロジェクトが生き残っていく流れが自然とできていくわけです。

地理的な利用制限が存在しない

従来型の金融サービスは、国や銀行などの金融機関が主体となって提供されているのが基本です。そのため、主体となる組織が定めたルールや、その組織を管轄する国や地域の法令などに基づいて運営されているため、その地域以外や海外からだと同じサービスを受けられないということも多々あります。また、日本を含む先進国では当たり前に利用できている基礎的な金融サービスでも、途上国に住んでいるので受けることができないという人々も多く存在しているのが現状です。こうした点に関しても、中央集権的な管理者がいないDeFiであれば、国籍や居住地域に関係なく、インターネットに接続できる環境さえ整っていれば、仮に銀行口座を持たない人でも。基本的には誰もが平等に同じサービスを利用することができるのです。

低コストなシステム

仲介者が存在しないことは、時間的・金銭的コストの大幅な削減にもつながります。中央集権的な仕組みで仲介が行われると、どうしてもタイムラグの発生を避けられません。銀行から資金を海外に送金しようとしても、リアルタイムで送金はできませんよね。生命保険に加入したり、住宅ローンを借りたりする場合でも、1ヵ月程度のタイムラグが発生するのが実際のところです。また、海外送金では、高額な送金手数料を仲介者に支払わなければならなかったり、生命保険料や住宅ローンの金利にも当然、実質的な仲介者への手数料が上乗せされてきます。もちろん、生命保険会社や銀行は、利益がなければ人を雇うこともオフィスを継続させることもできませんし、ATMの管理や書類作成など、あらゆるシーンで経費が発生するわけですから、必然的にそのコストは手数料や保険料、ローン利子から得ることになってきます。

その点、仲介者不在のDeFiでは、すべてがプログラムによって実行されるため、こうした従来の時間的・金銭的コストを限りなく低く抑えることが可能となっているのです。仲介者が存在しない、このようなあり方を指して、DeFiは『オープンファイナンス(Open Finance /Op-Fi)』と呼ばれることもあります。

24時間365日どこでも利用可能

従来型の金融サービスでは、金融機関のATMなどを除けば基本的に営業日や営業時間が決められていて、定められた時間内でなければサービスを受けることができませんでした。しかし、ブロックチェーン技術を使ったDeFiでなら、取引や取引の記録に第三者の手を借りる必要がないため、24時間365日、いつでも利用することができます。また、プロトコルがブロックチェーン上にあり、1つのサーバー上で稼働しているわけではないので、従来型のサービスのようにサーバーダウンやシステムメンテナンスなどによって、一時的にサービスが利用できなくなるということもまずありません。そしてウォレットさえあれば、自分が今どこにいようともあらゆるDeFiサービスを利用することができるのです。このように、DeFiには国籍や年齢、性別など関係なく、誰でも平等に利用できるという大きなメリットがあります。

利用には仮想通貨が必要

DeFiの利用には仮想通貨(暗号通貨)が必ず必要になってきます。また、ブロックチェーン上に構築されているDeFiでは、取引をおこなう際にネットワーク手数料の支払いが発生します。ネットワーク手数料とは、DeFiの基盤であるブロックチェーンに取引内容を記録する際にかかる手数料のことで、決済通貨として利用できるのは、そのDeFiの基盤となるブロックチェーンの基軸通貨、つまり仮想通貨になるのです。例えば、イーサリアムチェーンを基盤にしているDeFiを使う場合であれば、ネットワーク手数料の支払いにはイーサリアムが必要で、日本円などの法定通貨を使うことはできません。つまり、DeFiを利用する際は事前に仮想通貨取引所に口座を開設して、これから利用しようとしているDeFiで使用できる仮想通貨をあらかじめ購入しておく必要があるのです。

デメリット

このように未来の金融システムを変えるかもしれないとも言われている画期的なシステムでもあるDeFiですが、未知数であるだけにデメリットも存在しています。例えば、日本の銀行や証券会社の場合は、それぞれ日本の法律や法令に基づく登録を受けて運営されており、各社には消費者保護の仕組みを整えることも義務付けられていますが、DeFiは現状においては、日本の法律では認可されていないサービスで、従って消費者保護の仕組みも存在していません。管理者によるサポートもなく、何が起きても基本的には自己責任で対処していく必要があるため、利用の際には従来型の金融サービス以上に仕組みや内容をしっかりと理解しておく必要があります。

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